肩こりや腰痛などの慢性症状に対して、「長時間じっくり施術をしてもらったほうが効きそう」と思っていませんか? 実は当院では、症状の改善を目的とするのであれば、施術時間は短いほうが良いと考えています。なぜなら、長く触れられるほど身体、とくに神経が受ける負担が大きくなり、結果的に回復力を妨げる可能性があるからです。
そもそも私たちの身体は、外部から強い刺激を受けると「防御反射」という自然な反応が起こります。脳や神経が「この刺激は危険かもしれない」と判断し、筋肉や関節を緊張させて守ろうとするのです。これは腰痛や肩こりの原因にも通じるメカニズムで、刺激が大きいほど緊張は高まり、かえって症状を長引かせる要因にもなります。
さらに、当院が注目しているのは「痛い部位」そのものより、痛みを引き起こしている根本原因です。たとえば、慢性腰痛の85%は医療機関で原因を特定できない「非特異的腰痛」と言われますが、その正体は背骨の歪みや神経の圧迫、ストレスによる自律神経バランスの乱れなど、痛みがある箇所以外に隠れているケースが少なくありません。にもかかわらず、「長時間しっかり揉まれれば良くなる」と患部を何度も刺激しても、神経の防御反射はますます強くなってしまいます。
では、どうすれば体が改善に向かうのか。ポイントは「適切な箇所」に「適切な刺激量」を与えることに尽きます。医学的には「全か無かの法則」と呼ばれ、身体が受け入れられる刺激には上限があります。それを超えても追加の効果は望めず、ただ強く押したり長く触れたりするだけでは意味がありません。むしろ体がさらに緊張して、副交感神経を働かせる余裕がなくなり、回復が遅れてしまうのです。
そのため当院では、一回の施術は15~20分程度で行っています。短時間であっても、神経の働きや背骨の歪みを正確に捉え、必要な箇所だけを調整すれば、身体は自らの自然治癒力を発揮して改善へと向かいます。大切なのは「どれだけ長く揉むか」ではなく、「どれだけ的確に根本原因にアプローチできるか」なのです。
もし慢性症状でお悩みの場合、「とにかく長時間施術を受けたい」という考えを一度手放してみてください。短くても的確に届く優しい刺激が、あなたの身体を本来の健康な状態に近づける最善の方法かもしれません。当院では、世界に一つしかないあなたの身体を大切に扱いながら、短時間でもしっかり効果を実感できる施術プログラムを提供しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。