テレワークが増えた昨今、長時間のパソコン作業やスマホの使用で「なんだか体が歪んでいる気がする」と感じる方が急増しています。しかし「歪み」とは、単に姿勢が悪く見えるだけの問題ではありません。実際には関節や筋肉、さらには肺などの内臓機能にまで影響を及ぼし、痛みや疲労感、不調を引き起こす重大な要因になり得るのです。
慢性的な肩こりや腰痛に悩んでいる場合、多くの方はまず「揉んで楽にする」「痛み止めを飲む」といった対症療法を選びがちです。これはいわば、建物の壁にヒビが入ったときに、ひとまずヒビだけを埋めてみる行為に近いでしょう。見た目は一時的に改善しても、土台(=骨格)が歪んだままであれば、同じような問題を繰り返す可能性が高いわけです。実際、医療機関で原因がはっきり特定できない腰痛や肩こりは全体の85%とも言われており、その多くが姿勢や骨格の乱れ、神経の圧迫など“本当の原因”が見過ごされていると考えられます。
体の歪みがもたらす弊害は、筋肉や関節だけに留まりません。たとえば肋骨が正しく動かせなくなると、肺が十分に膨らまなくなります。すると呼吸が浅くなり、体内の二酸化炭素を十分に排出できず、酸素を取り込む効率も落ちてしまう。結果として全身への血流や栄養供給が不十分になり、内臓の機能も低下しやすくなるのです。デスクワークや在宅勤務で長時間座ったまま、背骨や肋骨の可動域を狭めてしまう方は、要注意といえるでしょう。
歪みが長年続き、骨そのものが変形してしまった場合、元どおりの形に完全修復するのは難しいかもしれません。しかし、だからといってあきらめる必要はありませんよ。変形した骨でも、その人にとって最も負担の少ない位置に近づけることで、歪みの進行を遅らせたり、痛みやコリの発生頻度を大幅に下げたりできるのです。建物で言えば、土台を可能なかぎり補強し、これ以上の傾きを防ぐイメージに近いですね。
大切なのは、「痛む部分そのもの」をひたすらケアするのではなく、「なぜ歪んだのか」という原因にアプローチすることです。骨盤や背骨を正しい位置へ導く施術で神経の圧迫を解放し、呼吸や血行をスムーズにしてあげる。すると、本来備わっている自然治癒力が高まり、慢性化していた症状が驚くほど早く改善に向かうケースも少なくありません。
ご自宅でも定期的に鏡を見て姿勢をチェックしたり、深呼吸を意識して肋骨の動きを確かめたりすると、歪みが進んでいないか早期に気づくきっかけになります。もし「最近、疲れやすい」「肩や腰の痛みが繰り返す」「呼吸が浅い気がする」といった状態を自覚されているなら、ぜひ“体の土台を整える”という視点でのケアを取り入れてみてください。そうすることで、体全体の負担が軽減され、より軽やかな日常を取り戻せるはずです。