整体や整骨院で施術を受けた後、「体がだるくなった」「痛みが一時的に増した」という経験はありませんか。東洋医学では、症状が快方へ向かう過程で生じる一時的な不調を「瞑眩(めんげん)反応」と呼び、いわゆる“好転反応”として捉えます。ただし、この好転反応には大きく二種類ある点に留意が必要です。正しいメカニズムによるものか、単なる“やり過ぎ”による悪化なのかを区別しないと、「体に良いものだ」と安易に考えてしまうかもしれません。
腰痛や肩こりが長引く原因の一つは、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が常に優位な状態が続くことにあります。筋肉は適度な硬さを保つことで負担を分散していますが、交感神経優位が続けば、筋肉は過度に緊張し凝り固まってしまうのです。さらに、背骨の歪みから神経が圧迫されると、脳と身体の連絡が乱れ、痛みや疲労感など様々な不調を招きやすくなります。
よく例えられるのが「正座した後の痺れ」。長時間正座をすると、体重によって足の神経が圧迫され、運動麻痺(足に力が入りにくい状態)や感覚の異常(ジンジンする痛み)を起こします。正座から立ち上がると、その圧迫が解放されて感覚が戻るため、一時的に痛みや違和感を強く感じるのです。実はこれと同じことが、背骨の歪みによって長く圧迫されていた神経が施術によって解放された際にも起こる場合があります。今まで感じにくかった痛みや違和感が急に鮮明になるため、「施術を受けて余計につらくなった」と思われる方も少なくありません。しかし、この“感覚の復活”こそが本来の正常な反応であり、好転反応の一つと考えられます。
当院のように、背骨の歪みを矯正し神経の通り道を回復させるアプローチでは、圧迫から解き放たれた神経が運動機能や感覚を取り戻し、一時的に痛みが増したように感じることがあります。これは、正座で痺れた足が立ち上がったときに起こる痛みや違和感と同じメカニズム。いわば身体が“凍結状態”から正常モードへと戻るためのステップといえます。こうしたケースであれば、あまり心配はいりません。施術者に現状を伝えたうえで、適切なケアや指導を受ければ、改善の方向へ進みやすくなります。
一方で、マッサージなどで「長時間ゴリゴリと揉まれた」「強い力で押され続けた」結果、だるさや痛みがぶり返す現象もあります。これは好転反応と呼ぶには無理があり、単に筋肉を過度に傷つけているケースがほとんどです。触られる時間や回数が増えるほど、筋肉や神経の防御反射が起こりやすくなり、かえって血行が悪化して炎症が長引く可能性すらあります。過剰な刺激で生じる不快症状は、当院の施術方針では発生しないよう徹底管理しており、医学的・科学的な根拠に基づいた短時間・的確なアプローチを心がけています。
背骨の歪みは神経だけでなく、筋肉や内臓、血管、あらゆる組織に影響する可能性があります。それゆえ、ゆがみを正す施術を行った際に、一時的な痛みやだるさを感じても、それが“神経の解放”によるものか“やり過ぎ”によるものかを見分けることが大切です。もし神経の働きが正常に戻った結果として痛みを自覚するのであれば、それはむしろ回復の第一歩と考えられます。一方、明らかに強すぎる刺激によって筋肉を痛めてしまう施術を受けているなら、早めに見直すことも必要です。
好転反応のメカニズムを知り、正しい施術を選ぶことで、あなたの身体は自然な治癒力を発揮しやすくなります。私たちは、長年つらい症状に悩む方が安心して施術を受けられるよう、丁寧な説明と安全な施術を常に心がけています。もし疑問や不安があれば、遠慮なくご相談ください。あなたにとって本当の意味での“好転”が訪れるよう、精一杯サポートいたします。